動物病院

5月31日(金)午前8時15分〜午前10時45分、トワ(永遠)の散歩。

井の頭公園三角広場の夕やけ橋に着いた途端、(橋→広場のルートに沿うことなく)吉祥寺南町3丁目住宅街に向かい、うぐいす小路→ジョギング通り→百歩坂の路→公園東通りを歩き回り、そして今度は夕やけ橋を渡って三角広場に入る。この間、約50分。

広場では、休んだり歩いたりを何べんも繰り返す。特に爽やかな風が吹きすぎる木陰に腹這って休らう。この間、約1時間半。
途中、午前9時半頃、K.N.さんと会い(cf.May18)、30分ばかり四方山話をする。

● 午後4時ごろ、息子がトワを連れて、N動物病院に行く。
同院は京王井の頭線三鷹台駅から徒歩3分、トワの散歩道である神田川遊歩道の途中にある。
年に1度の「混合ワクチン」接種を受ける。犬が10歳過ぎたら、ワクチン接種は不必要との説もあるが、一応今年も予防接種をする。

トワはこれまで、私or息子と連れ立って、4軒【S、B、X、N】の動物病院に行ったことがある。ワクチン予防(混合ワクチン接種+狂犬病ワクチン接種)やフィラリア予防などのためだ。
動物病院の評判は、とかく愛犬家の話題になる。私の周囲に限れば、S、B、X、Nの4軒では大ざっぱに言えば、SとXの評判が悪く、Nの評判がマアマアで、Bの評判がよかった。

・わが息子は当初、自宅に比較的一番近いS(武蔵野市吉祥寺)に、幼少のトワを連れて行った。
私も1度だけ、同院を訪ねた(トワ3歳?)。
悪評に違わず、同院の獣医は無愛想で、つっけんどんな口を利く、サービス精神とは無縁なオジン(@_@)
私はのっけから、〈これじゃ、トワの治療は不安だな…〉と気が滅入る始末。

・次に出向いたのが、吉祥寺の五日市街道に面したB。
息子は同院を気に入って、何度か通院した。
私も1回だけ、散歩からの帰りがけに、同院に立ち寄った(トワ5歳?)。
が、状況が一変する。Bは(今から6年ほど前に)武蔵野市吉祥寺から杉並区西荻窪へ移転する。
それまでは自宅から精々20分ぐらいだったのが、今度は交通の頻繁な、延々と続く五日市街道をトワと歩いて、何と1時間ぐらいかかるではないか!

同院自体は私の見聞するかぎり、獣医(女性)も動物看護師(女性)も笑顔と真心を込めた対応に努めていて、好感の持てる病院だ。同院が掲げる診療方針:「個々の動物、飼い主さんに適した治療を選択し、動物1頭1頭、飼い主さんお一人お一人を大事に、ホームドクターとしての病院でありたいと思っています」も、あながち羊頭狗肉の広告とは言えない。

しかし、トワ(と私)にとって問題なのは、第一にBの態勢が受診の予約があっても無きに等しい状態下にあること、第二に移転後の同院までの通院(移動)時間がかかり過ぎること。
私は移転後の同院には、これまで5回通った(トワ6歳〜9歳)。
毎回「受診時間」予約の電話を入れた上で、可能なかぎり交通渋滞を避けながら、吉祥寺から西荻窪までやっとの思いで歩きつづけ、そして定刻にとにかく間に合って、同院にたどり着く。
ところが、どうだろう、同院の待合室には、毎回決まって先着した<人‐犬・猫>が三々五々たむろしているではないか!
彼らと私は、予約がかち合ってしまったのか(⇒バッティング、つまり病院側によるダブルブッキング)?それとも、連中は予約なしの急な駆け込みなのか?(同院の説明によれば、予約も駆け込みも両方OKで、受診はあくまで先着順とのこと。)
いずれにせよ、私(とトワ)は狭い待合室で、他の<人‐犬・猫>に周到な配慮を怠らず、ひたすら忍の一字で、長いこと(最低20分、最高五十数分)、診療順を辛抱強く待ちつづけた。

動物病院側はとかく“動物の立場”に立つ診療を強調する。
「一頭一頭にとって最良の獣医療を行う」、「動物にできる限り苦痛や不快感を与えないように細心の注意を払う」、「ペットと飼い主様が安心して診療を受けられ笑顔でお帰りいただけるようなやさしい診療を心がける」等々。
だが、問題はその耳触り(≠耳障り)のいい言葉の内実がどう保障されているかだ。

そもそもトワ(と私)に20分〜50分もの待ち時間を強制する「動物」病院は果たして、動物(=生命体)の立場に立つ病院の体を成すものだろうか。
トワは回を追うごとにBが苦手になっていった。
同院に入ることはもとより、同院に近づくべく西荻窪に向けて五日市街道を進むことも敬遠するようになる。
彼はまさしく、自らの行く手に不自然で不快な事態が待ち受けていることを本能的に予感するのだろう。

私は常日ごろ、トワに接しながら、彼の自然性を尊重し、いかに平常心に近い状態を保つことができるかに腐心してきた。
その私の見るところ、彼が動物病院に通う場合、当の待合室での待ち時間は原則として〜病院への移動時間の長さとの相関関係を考慮の外に置けば〜、最大限20分程度にとどめるべきかと思う。

・私はBを止めて、3番目のX(杉並区)に行く(トワ9歳)。
ところが、同院はおよそ問題外だった。
「予約」の形骸化はB以上であり〜所在地こそBより自宅に近かったが〜、獣医も動物看護師も紋切り型を好み、しかも法外な「診断・治療」費をふっかける…。動物「病院」の名の下に、悪徳商法がまかり通るとは、このことか。
私にとって同院は、1度こっきりで見納めになった。そして私の息子の場合は、同院を一度も利用せずに終わった。

・2011年の夏、私は神田川遊歩道で、Nに勤務中の女性の動物看護師二人、HitomiおよびHidemiと、初めて出会う。
私がトワ(10歳)を連れて、また彼女らが犬各1頭を連れて、たまたま神田川遊歩道を行ったり来たりの散歩中のことだった。
Hitomiはぽっちゃりとカワイイ娘、Hidemiはすらりと背が高く、気の強そうな娘。二人とも態度がぎこちないオボコ娘ながらも、私というオジサン好みのタイプ(^o^)

両人との率直な立ち話から分かったこと。
(1)Nは「ペットホテル」を併設している。
ペットホテルとは、ペットの飼い主が旅行・出張などの留守中にペットを預かるペット専用の宿泊施設。
彼女ら動物看護師・ドッグトレーナーは、ペットホテルに宿泊中の犬に対して、朝・夕 2回(各回15分)の散歩〜神田川遊歩道の往復〜を実施する。
(2)同院は「しつけ教室」も開設している。
ここでは基本的に、犬の噛み癖(頻繁な甘噛みを含む)・引っ張り癖・飛びつき・ムダ吠えなどの困った習慣を改善するためのトレーニングを行なう。
彼女らは獣医と連携しながら、飼い主が犬の習性と基本的な動作を勉強するプライベートレッスン→<犬‐飼い主>が他の<犬‐飼い主>と一緒に勉強するグループレッスン(於:三角広場)を実施する。
(3)同院でも診療上の「予約」と「駆け込み」が併用され、予約という「約束事」本来の機能が喪失している。
日本の動物病院は全般に、特に営業政策との絡みで、「予約」の形骸化の問題状況に否応なく巻きこまれているにちがいない…。

私は二人に向かって大略、“動物看護師”は根本的に自然生態系の一環としての人間‐動物‐植物の相互交流の視点に立つべきであり、動物を人間の「道具」視するような単なる“調教師”であってはならない点、また「予約」の本義〜予約自体が何のためにあるかについての根本事情〜を踏まえて、「予約」を現実化するシステムを何としても病院内に作りあげるべき点を力説した。

私の話を聞きながら、Hitomiが多少の反応を示した。
「Nでは、平日の診療時間は午前の部が正午で終わり、午後の部が16:00から始まります。その午後4時なら、駆け込みはほとんどいません。午後4時に予約すれば、まず待つことなく診療してもらえると思います…」

私は彼女のこの意見を受け売りし、わが息子に伝えた。
以来、彼は努めて午後4時に予約時間の照準を定めて、Nに出かける。
そして今日(2013年5月31日)、トワが同院にお世話になること4度目を迎えた次第だ。

ここ2年ばかり、私はトワの病院通いを息子に任せきり、一切の動物病院と没交渉になった。
しかし私としては、Nを知った行きがかり上、今後いつか折を見て、せめて1度だけでも、同院の敷居をまたぐつもりだ…。