『IRA』を読む(←『シャドー・ダンサー』を観る)

映画「シャドー・ダンサー」

4月28日(日)午前9時30分〜午前11時30分ごろ、トワ(永遠)の散歩。

快晴の日和ながら、彼は井の頭公園三角広場と神田川沿い遊歩道を気だるそうにトボトボと何度も行ったり来たりする。
ところが小1時間が経って、彼は夕やけ橋のたもとで見慣れぬ雌犬と出会った途端、相性のよさゆえか、性(生)的エネルギーがふつふつとたぎりだし、彼女に絡みつかんばかりにモーションをかけつづける。
しかも、彼女が飼い主に引っ張られて次第に離れ、視界の端に映るばかりになっても、彼は気を取り直して、彼女の(ニオイの)あとをガムシャラに追いかけつづける。
私をグイグイと引っ張る彼の力強さ!
私は彼にせかされて、小走りに急ぐ。
彼は息せき切って彼女に追いつく。
彼と彼女は、はしゃぎ回って感動的な再会を喜び合った。

やがて生身の興奮が鎮まった両犬の別れしなに、私は彼の耳元に小声でつぶやいた。
「トワ、お父さんは走ってヘトヘト、くたびれたわ…。あとは、ゆったり、ゆっくり、のんびりお散歩しようね…」

それから1時間ばかり、吉祥寺の町中を颯爽と闊歩するトワの雄姿があった。

◆ 午後11時ごろ〜翌日午前1時半ごろ、小腹が減ったので、自宅近辺のカフェレストラン「ガスト」で、フレッシュいちごのパンケーキを食し、ドリンクバーから カプチーノとカフェ・オ・レを飲む。
幾分寒さを覚える夜更けのためか、客は数えるほどしかいなかった。静けさに包まれた店内で、精神を集中して、鈴木良平IRAアイルランド共和国軍)〜アイルランドナショナリズム〜』彩流社、第4版増補、2013年)を一心に読む。

私はこの4月16日、映画館・シネスイッチ銀座で、シャドー・ダンサー(原題:Shadow Dancer、ジェームス・マーシュ監督、上映時間101分)を観た。
本作は幼い息子を守るため、MI5(イギリス情報局保安部)の情報屋(密告者=スパイ)になった女性IRA活動家の劇的な葛藤を描くヒューマン・サスペンス映画。まさに組織と組織の板挟みとなった苦悶する一人の女性(コレット・マクビー、cast:アンドレア・ライズブロー)の悲劇に迫った力作だ。

当日、同館ではIRA関係の書物が数点販売されていた。
私は鑑賞直後に、ためらうことなく前掲書およびリチャード・キレーン著(鈴木良平訳)『図説アイルランドの歴史』彩流社、第4刷、2010年)を購入。
後者については、4月17日から1週間かけて読了。そして前者については、24日から読みつづけて、今日にいたった次第だ。

私はもともと「日本の近代化とナショナリズムの問題」に多大な関心がある。
その私が複雑多岐にわたる緊迫した深刻な北アイルランド問題に、一体どこまでリアルに肉迫できるのか。私がこれまでに培った理論知・実践知をもって、はたして『IRA』を読みこなすことは可能なのだろうか。